コロナショックで市場が大混乱した2020年3月以来となる「1ドル105円台」に突入したドル円ですが、はたしてどこまで下落するのでしょうか?ドル高を狙っているFXトレーダーからすると「もういいだろう!」と突っ込みたくなる状態ですね(私も同様です)。まさか1ドル100円まで大暴落するという可能性はあるのでしょうか?今回は「2020年7月27日のドル円チャート」を分析していきましょう。
1時間足のチャートを確認
ドル円7月27日の時間足チャート
ドル円のロングポジションを保有しているFXトレーダーは目を背けたくなるような、凄まじい傾きの右下がりのチャートになっています。円高ドル安が急激に進んでいることを示したチャートです。7/23時点で1ドル107円台だったのが、あっという間に7/27には1ドル105円台半ばです。ボラティリティ(変動率)の低い米ドルにして200pipsに迫る下落ぶりですから驚きです。10Lot(10万通貨)の買い建玉でおよそ20万円の含み損となります。売りの建玉保有していたらウキウキ状態でしょう。
4連休明けで久しぶりの東京市場。日経平均自体は特別に大幅下落しているわけでもないです。35円ほどの株安で引けています。ダウ平均は先物で70ドルほどの株高で推移。こちらに目立った動きはありません。にもかかわらず欧州タイムに入ってもまだドル売りの勢いは止まらず。ストップロスがストップロスを呼ぶというまさに典型的なブレイク状態。こうなるとどこがチャートの節目になってくるのでしょうか?
なぜここまでドルが急落しているのか
ドル売りがここまで続いている背景は、ファンダメンタルズ要素が強いですね。米中の紛争によって総領事館閉鎖が実行され、地政学リスクが高まっています。米中の対立は今に始まった話でもないので、特別緊張感が増したとは思えないのですが、11月にアメリカ大統領選挙を控え、劣勢に立っているトランプ大統領が起死回生の一撃を放つとしたら、やはり中国相手ということになるのでしょう。ようするに何が起こるかわからんという警戒感がドル売りの大きな要因です。
さらにずっと低迷していたユーロがここにきて1ドル1.17ドルまで上昇する勢いだという点もドル売りに拍車をかけています。パンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)も合意となり、総額2兆ユーロの大規模財政出動が予想され、EU圏もようやく一致団結できるムードが高まっていますので、ドルとユーロはまさに対照的です。
日足のチャートを確認
ドル円7月27日の日足チャート
こちらが日足のドル円チャートです。3月のコロナショックで大きく上下して以降はもみ合いが続いていましたが、ついに大きく動き出した感じはあります。市場心理としては1ドル105円がチャートの節目となってくるでしょう。ここを割り込むとどこまで下落するのか不気味です。私も30万円ちかく含み損が発生しており、損切りかなという雰囲気も強くなってきました。一方的にドルが下落し続けるということも常識的には考えにくいので、耐えられるのなら耐えたいところです。
ただ「ドルが上昇する材料がない」というのが厳しい。短期金利はしばらく利上げは見込めないですし、逆に長期金利も介入を受けて0.0%ちかくで固定される可能性もありますからね・・・ FRB(米連邦準備理事会)もECB(欧州中央銀行)も本格的にイールドカーブ・コントロール(YCC)の導入を検討していますので、長期金利の上昇は困難。ドルロングには「ウーン」と唸るような環境です。
アメリカは何かを起こす
しかし、一方でミラクルに期待できるのがアメリカ。思いも寄らぬ「何か」が起こる可能性があります。というより「起こす」という感じでしょうか。今年は近年まれに見るボラティリティの高さですから、反発が大きいことも予想はされます。
コロナのワクチン開発は目処がたってきた状態ですし、あるとしたらやはり中国との歩み寄りでしょうか。この辺りはビジネスマンとしてのトランプ大統領の手腕に期待したいですね。演出がうまいですからね。そこにうまくはまるかどうかです。8月、9月と期待しましょう。市場が明らかに傾いているときは、逆張りしてこそ利益が出るというものです。
アメリカ第2四半期GDPのトピックスはこちら
「FXチャート・ドル円予想:第2四半期GDP速報値発表目前、1ドル105円を守れるのか?」
まとめ
次のトピックス待ちの感じもありますが、どうなるのでしょうか。そう考えると日本の存在感が薄すぎる印象が拭えません。諸々の事情により動きにくいので仕方ないのでしょうか。とりあえず米中の動向を様子見といったところでしょう。ただこれ以上の円高は日本にとっては逆風なので、何らかの対応はしてくると思います。
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