2020年も残すところ2週間あまり、本当にいろいろあった激動の1年間でした。未だ米ドル安が留まるところを知らず、下値を更新している最中。年末年始のボラティリティの高いタイミングでどうなるのかも気になるところですが、今回は「2020年の豪ドルはなぜここまで強いのか!?」というテーマでお伝えしていきます。
はっきり言って政策金利は史上最低を更新しているオーストラリアですから、豪ドルが下落しても何ら不思議がないのですが、コロナ禍の中でも回復も早く、さらに上値を試している状況。なぜこうも豪ドルは上昇を続けるのでしょうか?
コロナ禍の中での回復の異常な速さ
実はコロナ禍以外にも問題を抱えていたオーストラリア
2019年12月といえばちょうど1年前になりますが、この時期のオーストラリアは記録的な熱波が到来し、大変なことになっていました。大規模な森林火災が起こっていたのです。そんな中で明けた2020年、1月の段階の為替レートは、豪ドル/円(AUD/JPY)1豪ドル75円台でした。
ここから3月にかけてコロナ禍も受けて豪ドルは急落していきます。3月15日の段階で、1豪ドル64円台です。オーストラリアの政策金利はこの時期に過去最低の0.25%まで利下げが行われています。かつては高金利通貨だった豪ドルは見る影もありません。しかし1豪ドル60円で反発しています。
さらに下落してもおかしくない状況ですが、豪ドルの底は60円台でした。ここから豪ドルは異常な回復をしていきます。
わずか2ヶ月で回復
驚くべきことに豪ドルはこの後、5月までに1豪ドル76円台まで回復します。わずか2ヶ月でコロナ禍以前の為替レートまで戻したのです。
しかもこの後、9月には1豪ドル78円台まで上昇。しかもRBA(オーストラリア準備銀行)は11月に0.10%まで利下げを行っていますが、今日(12月18日)時点の豪ドル/円は1豪ドル78円台です。73円台まで下げることはあってもまた上昇してくるのです。
豪ドルは完全に上昇トレンドで、米ドルのまったく逆の現象になっています。下落してもおかしくないのに下がらない。12月16日には中国がオーストラリアの大麦に関税上乗せして輸入制限をして、WTOに提訴。明らかに関係性は悪化しているものの、豪ドルは下落しません。
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豪ドルの強さの要因と2021年どうなるのか?
アジア向けの輸出の好調さ
オーストラリアといえば2008年に世界経済危機の際に唯一リセッションを回避した経済大国として有名です。背景には中国への資源輸出がオーストラリア経済をしっかり支えていたという点があります。
さすがに2020年は第1四半期のGDP、第2四半期のGDPとマイナスが続きリセッション入り、しかも第3四半期のGDPもマイナス3.8%と苦しい状態です。
しかし、かつての危機を乗り越えた実績と、アジア向け資源輸出の好調ぶり、液化天然ガスの産出量がカタールを抜いて1位になった点など評価されての豪ドルのここまでの回復なのでしょう。
2021年はどうなる?
フィリップ・ロウRBA総裁は、利上げについて、インフレ目標の2%の維持を公言していますし、今は高い失業率への対応に翻弄されています。失業率は8%ほどですが、2022年には6%まで引き下げられる見通しです。インフレも2021年には1.0%、2022年には1.5%の見通しで、2023年には利上げの可能性があると考えられます。
利上げが見込めぬ中ですが、堅調な豪ドルは2021年ももみ合いながらこの状況を維持するのではないでしょうか。まったくスワップポイントの期待できない豪ドルですから、もみ合いの中で自動売買ツールを使って売買を徹底的に繰り返していくのが、利益を出すポイントになりそうです。コロナワクチンの状況によってはさらにリスクオフとなり、豪ドルは上値を切り上げる可能性もあります。
ある程度のラインまで上昇したら、逆張りで売りを入れるのも面白いかもしれません。
まとめ
利下げが相次いだことで下落を予想して売りを入れたトレーダーも多いようで、頭を悩ませているようです。中国との関係がさらに悪化したら、さすがに下落もあると思いますね。ただ対米ドルにおいても、3月の1豪ドル0.57ドルから、今は0.75ドルですから、米ドルよりも円よりも豪ドルが強い状態なのは間違いないようです。
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