それにしてもいつまで続くんだアメリカ大統領選挙の混迷と米ドル安。ということで、米ドルの下落トレンドがいつまでも続いているので、ガッツリやられているFXトレーダーも多いのではないでしょうか。状況的には「何が起きてもドル安要素」といった感じで、もはやどうすれば米ドルが上昇するのか謎になってきました。今回は初心に戻って、「最も重要なファンダメンタルズ要因」についてお伝えしていきます。
前回までの内容はこちら
FXのチャート分析・予想
迷走する米ドルと不透明なアメリカのファンダメンタルズ要素
ファンダメンタルズ要因の最重要項目とは
ファンダメンタルズ要因について
FXでは分析方法として「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」に分けられます。チャートやインジケーターを利用して分析するのが、テクニカル分析。経済指標などを利用して分析するのが、ファンダメンタルズ分析です。
ファンダメンタルズ要因として有名なところでは、毎月第1週目の金曜日に発表される「雇用統計」や、毎月「速報値→改定値→確定値」の順に発表される四半期の「GDP」などがあります。景気動向を探るには重要な指標です。
しかし、2020年中盤以降は経済指標の結果はマイナス要素になることはあっても、米ドルにとっての追い風になることはほとんどありません。完全に動意薄ってやつですね。「アメリカ大統領選挙」がどうなるのか?「コロナ感染」がどうなるのか?為替相場を動かす要因が限定されている状態です。
ファンダメンタルズ要因の最重要項目
改めてファンダメンタルズ要因について振り返ってみると、やはり重要なのは「金融政策」と「政策金利」(アメリカの場合はFF金利)です。
金融緩和が継続される→低金利状態が続く→米ドル売りになる
ここですね。2015年11月以降、段階的に利上げが続き、2018年12月に2.50%までアメリカの政策金利は上がりましたが、2019年7月以降は利下げが続き、2020年3月には0.25%とリーマンショックの時期の水準まで下落しています。
しかもパウエルFRB議長は、金融緩和の継続を常にコメントしており、2021年の利上げはまったく見込めません。EU圏、日本とほぼ横並びの状態ですから、米ドルの魅力は完全に衰えてしまっています。
どうしたら米ドルは上がるの??
金融緩和はいつまで続くのか
およそ4年周期ぐらいで考えると、好景気になって金融引き締めとなるのは、2023年です。株式市場だけ見ると、NYダウも3万ドルをつけるほどで景気が悪い印象はありません。金利と強い相関のあるインフレはまだ目標に達していないものの、10月のCPIコアはプラス1.6%と悪くはない数値。
第3四半期(7~9月)のGDPはプラス33.1%と、前回のマイナス31.4%から回復し、事前予測も上回っています。アメリカの景気は悪くはない印象です。ただコロナ感染の拡大で第4四半期(10~12月)のGDPは厳しいという予想。アメリカのGDPの7割を占める個人消費についても、11月17日発表の「小売売上高」がコアでプラス0.2%と事前予想のプラス0.6%を大きく下回り、やはり懸念した状態になっています。前月分もプラス1.9%がプラス1.6%に改定。
双子の赤字も抱えているアメリカ。コロナ感染拡大で財政も厳しくなっており、リセッションを抜けたとは言いがたい状態なのでしょう。金融緩和は当分続きそう。そうなると米ドルの上値を強烈に押さえつけることになります。
コロナワクチン開発
一時だけ米ドルが回復の兆しを見せた瞬間がありました。アメリカの大手製薬会社ファイザーがP3の試験結果で90%の感染予防に成功というヘッドラインが流れたときです。1ドル106円までは戻すかと思いましたが、結局また下落トレンドに飲まれており、その後のモデルナのワクチン開発のニュースにはもはや反応しなくなっているような状態です。
これはワクチンの開発に成功したとしても、株価上昇の要因にはなっても、米ドル上昇の要因にはならないことを物語っています。
もはや米ドル上昇の要因が見つからない。12月も引き続きアメリカの政局は不安定でしょう。よりリスクが高まる雰囲気です。きっちりアメリカ大統領が決まり、コロナの感染が終息し、アメリカの経済が本当の意味で復興した場合に限り米ドルは上昇するのかもしれません。だとするとやはり長丁場ですね。
まとめ
米ドルはしばらく上昇しない。これが大方の見方なのでしょう。市場心理は完全にそうなっています。ただこの世の中、本当に先がわからないので、いつ、何が起こるかわかりません。もしかしたら何か米ドルの上がる要素があるのかもしれない。
私は完全に割り切って、2023年まで米ドルロングポジション保有し続けて、スワップポイントだけ稼ぎ、2023年に利益確定する方向です。もちろんこれ以上下落した場合、ポジションの切り崩しは避けられないでしょう。
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