ADP雇用統計のネガティブサプライズから一転、米雇用統計がポジティブサプライズになるかもとお伝えしていましたが、実際にそうなりました。事前予想がプラス148万人のところ、結果はプラス176.3万人。失業率も事前予想の10.5%のところ10.2%、平均時給も前年比が事前予想プラス4.2%のところをプラス4.8%と、ことごとく良好な数値で、トランプ大統領の事前の声明通りの結果でした。ドル円は一時期1ドル106円まで回復しています。はたしてこのままドル高に相場は動くのでしょうか?注目点をまとめてみました。
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「FXチャート分析・予測 2020年8月7日(金)は米雇用統計発表日 ドル高の可能性はあるのか?」
テクニカル分析
ドル円の週足は保ち合いパターン
ドル円の週足チャートでトレンドラインを引いてみると、「保ち合いパターン」から下に動いたのがわかります。かなり強いトレンドが発生して、大きく下落していく傾向があります。ただし、1本前のローソク足が「トンカチ」でヒゲだけが下に長い状態なので、「ダマし」という可能性もあります。
ドル円の日足はもみ合い
ドル円の日足チャートを見ると、「もみ合い→下落→もみ合い」という流れですね。現状としては1ドル106円手前ぐらいでもみ合っています。ただ、サブチャートのMACDはシグナルを上抜けしており、上昇基調であることがわかります。1ドル106円をブレイクした場合、107円まではすんなり上昇しそうです。ただ107円には大きな壁があります。108円ブレイクはさらに大きな壁です。ここを突破するためには、「ドル買いとなる強い動機」が必要になってくるでしょう。
ユーロドルはもみ合いながら陰線が目立つ
ドルに勢いが出てきていることは、ユーロの状態を確認してもわかります。EU圏の第2四半期GDPが発表されて以降は、ユーロ買いが弱まってきています。1ユーロ1.177~1.190ドルあたりのレンジでもみ合いの状態ですね。ここはショートポジションのチャンスですよね。ユーロ高が何週にも渡って続いているだけに、そろそろ下落してもいいでしょう。
フィボナッチリトレースメントでは、強いトレンドでは38.2%で下げ止まることになるので、そう考えるとまだまだ下落しても不思議ではありません。1ユーロ1.165ドルまでは充分ありえますね。ただあくまでもドルが完全に上昇基調に入ってから動いた方がリスクは少ないので、もう少し様子見でしょうか。
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ファンダメンタルズ分析
ドル上昇の障害
ドルの今後を占ううえで重要なファンダメンタルズ要素はふたつあります。
① なかなか合意に至らない財政政策の行方
② 米中関係が今後悪化するのか、改善されるのか
ここのヘッドラインはとにかく要注意でしょう。噂や軽い声明やTwitter内容だけでも相場は先行して動きますからね。ここは政治家当人たちも読めていないかもしれません。どちらにどう動いてもおかしくはないです。ドル円の時間足チャートではこの2時間で200pips以上上昇していますが、まだ根拠不足ですね。ここにふたつのうちのどちらかのポジティブ要素が加われば、かなり強い上昇トレンドが形成できます。
ただ、いつ何時ニュースが流れるのか不透明なので、情報入手はかなり重要になってくるでしょう。チャートの分析だけではかなりリスクがありそうです。ふたつの要素がさらに時間がかかりそうとなった場合、リスクオフは強まりそうです。
経済指標
先週はいろいろ重要な指標が発表され、ADP以外はそこそこ良かったので、悲観的な見方が後退しているのは間違いありません。今週としては8月14日の「7月米小売売上高」が一番の注目でしょう。ただ、先週の状況が良かっただけに、指標結果というよりは、やはりふたつのファンダメンタルズ要素が相場を左右しそうです。11月のアメリカ大統領選挙も近づいてきており、もう少しドル高で推移してもいいはずですが、市場は慎重で様子見状態です。トランプ大統領の起死回生の一手がどんな一手になるのか!?意外性があるだけに期待はしたいですね。
まとめ
兎にも角にも「財政政策」と「米中関係」が重要な鍵を握っています。15日前後に第1段階の貿易合意の現状評価がありますが、ここでトラブルが起こることが一番の懸念材料でしょう。やや受け身になっている中国がどんなリアクションを起こすのかに注目したいです。
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