会社という組織に縛られず、自由に生きていきたいという願望は誰にでもあると思います。その方法として「FXの専属トレーダー」になって、稼いでいくという選択肢がありますが、まったくもってお勧めできません。理由はいくつかあるのですが、今回は投資の最大のメリットである「複利効果」に注目してお伝えしていきます。
複利効果をどこまで追求できのかが重要
複利効果とは
かの相対性理論を唱えたアインシュタイン氏が「宇宙で最大の力は複利効果である」という言葉を残したことは有名です。資産運用には単利と複利がありますが、もちろん複利効果を活用した方が大きな成果を期待できます。
よく小学生の算数の授業をしている際に話をすることのひとつに、「毎日1万円を30日間貰える」のと、「最初は1円しか貰えないが、翌日はその倍貰えるのを30日続ける」のではどちらを選ぶのかというものがあります。毎日1万円も貰えたら30日間で30万円にもなりますが、後者の方法では、1日目は1円しか貰えず、2日目は倍の2円、3日目はその倍の4円という感じですから3日間でわずか7円のお小遣いです。ですから圧倒的に毎日1万円貰った方が得に感じて、みんなそちらを選びます。しかし実際に計算してみるとどうでしょうか?
1日目:1円、2日目:2円、3日目:4円、4日目:8円、5日目:16円、6日目:32円、7日目:64円、8日目:128円、9日目:256円、10日目:512円。10日目になっても貰える金額はたった512円で、1万円とは比較にもなりません。一方では10日間で10万円になっていますが、もう一方は10日間で合計がようやく千円を超えたほどですからかなり大きな違いです。この時点ではどう考えても毎日1万円貰った方が有利な気がします。
では続けて計算してみましょう。11日目:1,024円、12日目:2,048円、13日目:4,096円、14日目:8,192円、15日目:16,384円。ついに1日に貰える金額が1万円を突破しました。16日目:32,768円、17日目:65,536円、18日目:131,072円、19日目:262,144円、20日目:524,288円。なんと20日目の1日に貰える金額だけで30万円以上になっているのです。21日目:1,048,576円、22日目:2,097,152円、23日目:4,194,304円、24日目:8,388,608円、25日目:16,777,216円。25日目だけで1千万円を超えています。26日目:33,554,432円、27日目:67,108,864円、28日目:134,217,728円。ついに1億円を突破。29日目:268,435,456円、30日目:536,870,912円。この金額を聞くと驚きますが、30日目に貰える金額は5億円を超えているのです。この1日だけを比較しても30万円の1789倍以上の金額です。
これが単利と複利の差です。複利効果は、長期になればなるほど爆発的に増加していきます。n日で2のn乗倍増えていくのですから当然の話です。もしこれが増えた分だけ使っていたら、いくら2倍していってもまったく増えません。利息を加えた分をさらに倍にするから複利効果は凄いのです。
稼いだ分を生活費に充てるのはNG
例えばFXトレーダーになって年利100%を目指したとします(異常な年利ですが)。しかし生活費として毎月30万円が必要で、年利100%は達成したとしても、実際のところ生活費を抜くと当初の資産と変わらないのであれば複利効果はまったく期待できません。ですから、「FXで勝ったから、何か買おう!」という考え方には賛同できないのです。大切なのはそこから先です。20年後、30年後に大きな資産を築くためには、投資で得た利益は次の投資に活かさなければ損です。再投資こそが重要なのです。
FXトレーダーであっても、他に稼ぐ手段があり、FXの利益はそのまま再投資できているのであればいいでしょう。生活していくので精一杯であれば、他にも収入源を作るべきです。私は数千回とトレードしてきていますが、FXで出金というものをしたことがありません(別のブローカーの口座に移すための出金はあります)。投資信託も同様です。投資で勝ったから何かを買ったとか、旅行に行ったという経験をしたことがないのです。別に誰か有名な投資家がそう言っていたからというわけでなく、単純に複利効果が弱まるから再投資し続けています。だから私にはFX専属トレーダーを目指すという選択肢はまったくありませんし、そうなりたいとも思いません。
まとめ
人にはそれぞれの価値観ややり方というものがありますので、こう考えている人もいるんだなという参考にしていただけたら幸いです。ちなみに老後2000万円問題などがよく話題になりますが、だからというわけでもないです。本当に純粋に複利効果に魅力を感じているだけです。
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